さかなさんですどうもこんにちは!
今週は2023年3月の読書記録です。
リアルタイムのさかなさん(2024年1月)は上の子(小1)と下の子(年少)ダブルの行き渋りに閉口する日々を送っております。
我が身に起こるとほんと一筋縄じゃいかないね…行き渋り…。
河出書房新社『スピン 1 創刊号』内容と感想
執筆人が豪華すぎてだな。
河出書房新社140周年記念カウントダウン企画として創刊された文芸誌。
コンセプトは「日常に『読書』の『栞』を」
とりあえず執筆陣が豪華すぎてだな。
青山美智子
一穂ミチ
尾崎世界観
恩田陸
角野栄子
斉藤壮馬
中島京子
中村文則
藤沢周
などなどなどなど…
というわけで久しぶりに文芸誌に手を出してしまいました。
小説幻冬の創刊〜多分2年くらい?読んでたの以来だなぁ。
やっぱさ、文芸誌の魅力は自分では選ばなそうな新しい作品に出会えることと、一気読みができないことだと思うんですよ。
初出しなので前評価もなし、『あらすじ』もなし。
まっさらな状態で毎号少しずつ少しずつ世界が解き明かされていく、あるいは繋がっていくこの感じ。
「早く続きが読みたい!」というもどかしささえ愛おしい。
16号限定と始めからゴールが決まってるのも良い。揃えます!!
中村 淳彦 著『職業としてのAV女優』内容と感想
一番のリスクは『楽に楽しく稼げた』経験をしてしまうこと。
AV女優が「普通の女性の普通の仕事」になるに至った業界の変遷を辿るレポ。
否定も肯定もせず、あくまで客観的に業界の光と闇を説いているところに好感を抱いた。
ゆうて最後には
良いこともあるにはあるけど気軽にやってみるのはおすすめしないよ
とやんわり止めてくれるのにも好感(笑)
「『楽に楽しく稼げた』という経験をしてしまうのが一番のリスク」
という言葉がなんとも言えず重かったなぁ…。
経験を糧に現実を生きるか、過去の成功体験を追い求めて生きるかがAV女優のその後の明暗を分ける。
考えさせられた。面白かった。
オトフリート=プロイスラー 著『クラバート』内容と感想
生死を扱う美しいダークファンタジー。
孤児であるクラバートは、水車小屋の見習い職人として親方から魔法を習うことになる。
ところがこの水車場には秘密があって…。
図書館の児童書の新刊コーナーでバシッと目が合って、思わず連れて帰っちゃった一冊。
著者自身が後書きで解説しているように、まずクラバートっていう名前が良いよね。
聡明でどこか神々しくて、一度聞いたら忘れられない感じ。
内容は生死を扱うダークファンタジー。
水車場の秘密が見えてくるにつれてゾクゾクと背筋が冷えてくる感じがたまらない。
児童文学としては「重い」部分(登場人物が謎の死を遂げるなど)も大いにあるんだけど、だからこそ最後のシーンが美しく映える。
クラバートの立場の変化や成長が、繰り返す季節の中で描き出される構成もどこか叙情的で良かった。
パトリック ジュースキント 著『ゾマーさんのこと』内容と感想
※こちらは絶版本です。
すごいものを読んでしまった。
ぼくの思い出の中にいつも現れる、歩き続けることしかできないゾマーさんの話。
……すごい本を読んでしまった。
あまりの読後感に感想がまともに出てこなくて、ただただため息が出た。
歩き続けることしかできないゾマーさん。
その深い孤独と絶望に胸が締め付けられる。
いま、目にしたばかりだった。
本文より
生涯、死に追われている人がいた。
図書館で借りて読んだんだけど、絶対に手元に置いておきたくて中古で買い直した。
これが絶版だなんて…。
シルヴィア ウォー 著『ブロックルハースト・グローブの謎の屋敷』内容と感想
※こちらは絶版本です。
家族ってそんなもんかも。
正体を隠して「普通」の生活を送る、布でできた人形の家族の物語。
設定はすごく面白いんだけど、家族仲が悪すぎてイライラして途中もう読むのやめようかと思っちゃった。
なんとか読み進めるうちに面白くなってきて止まらなくなって、後半はグイグイ読めた。
普段はお互いを苛立たせるような事ばかり言っていても、いざ何かがあれば団結する。
心の底では相手を大事に思っている。
そして最後にはあるべき所に収まる。
家族ってそんなもんかもな〜なんて思ったり。
ワクワクして面白かった。
人間へのちょっとした皮肉がまた良いスパイス。
小野寺史宜 著『ひと』内容と感想(オーディオブック)
辛い境遇でも真っ直ぐに生きていく主人公の話。
両親を亡くし、大学を中退した20歳の聖輔は、商店街でお婆ちゃんに最後の一個のコロッケを譲った縁からその惣菜屋で働くことになる。
両親を失いお金も騙し?取られてどうしてこんなに真っ直ぐに誠実に生きられるんだ…。
くさったところのない主人公の心根と、周囲の人の優しさに心が温かくなる本。
あれもこれも譲ってきた主人公が、最後に譲れないものに出会う展開も良き。
アンジェラ・ヴェンツェル 著『パパママおしえて アートミステリー13話』内容と感想
そもそもモナ・リザは微笑んでいるのか。
“ゴッホは自分の耳をだれに差し出したの?”
“なぜ『モナ・リザ』はほほ笑んでいるの?”
13点の美術作品と、作品にまつわるミステリーを紹介する子ども向けアート入門本。
さすが西洋の方は教養として子どもでも当たり前に絵画を学ぶというだけある…。
日本の子どもにはミステリー以前の「?」が多過ぎてレベルが高すぎる気がする(笑)
でも、
『生前に描かれたイエス・キリストの肖像画は存在しない』
『モナ・リザは本当に微笑んでいるのか』
など、大人でも興味を惹かれるテーマが紹介されていて面白かった。
理解しようとすると難易度は高いけど、子どもとアートの話をするきっかけには良いかも。
川北 稔 著『砂糖の世界史』内容と感想(オーディオブック)
砂糖ある所に奴隷あり。
砂糖がある所には、必ず奴隷がいる。
砂糖を大量生産するためには莫大な労力が必要だから。
イギリス人のアフタヌーンティーのために、無理やり奴隷にされた人たち。
先祖代々の土地を無理やりプランテーションにされた人たち。
政治の都合で解放された奴隷。
政治の都合で解放されなかった奴隷。
人間の良心ってどこにあるんだろう……やり切れない気持ちになった。
「歴史を学ぶことは、どういう経緯で現在があるのかを学ぶこと」
後書きの言葉が滲みた。
河出書房新社『スピン 第2号』内容と感想
もう一回読みます(笑)
実はスピン第1号の前に2号を読んだので、第1号読んでからもっかい読んで感想書きます(笑)
喜多川 泰 著『きみが来た場所』内容と感想(オーディオブック)
今より少しでも良い未来を子どもたちに渡すために。
塾の経営が上手く行かず不安な日々を過ごす秀平は、ある日「自分の先祖の記憶」を追体験できる飴を手に入れる。
自分のルーツを知ることで見えてくる、大切なこと。
私たちは使命を果たすために必要なものは全て持って産まれてくるということ。
沢山のご先祖さまが「今より少しでも良い未来を子どもたちに渡す」ために頑張ってくれたのが現在であるということ。
だから自分たちも、今より少しでも良くして次の世代に渡す努力をしないといけないということ。
そしてそれは決してお金や権力や、形にできるものではないということ。
私たちは生きていていいと背中を押されたような気がした。
まとめ:
というわけで2023年3月は紙の本7冊、オーディオブック3冊の計10冊でした!
多っ!!!!!
遅読でせいぜい4〜6冊/月程度のさかなさんとしては信じられないスピードで読んでますね。
一体この月に何があったんでしょう。全然覚えてません。
ここまで読んで頂いてありがとうございました!
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おしまい
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